『木琴デイズ』に見る昭和の風景
明治・大正はおろか、昭和まで「遠い日々」となった現在、「レトロな昭和」への憧憬が高まっている。そんな中、上梓された『木琴デイズ』は、昭和の懐かしい音色への郷愁を誘う書物。かつて小学校の音楽教育の現場で欠かせない楽器だった木琴。あの懐かしくもかわいらしい音色はいずこへ消えたのか?『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』(344P/1900円)を上梓した著者の通崎睦美と書評家の岡崎武志が、「平岡養一の木琴人生と昭和」をテーマに語り尽くす。
『木琴デイズ』は、1907年生まれの世界的な木琴奏者・平岡養一の73年にわたる波瀾万丈の人生を、自身、マリンバ・木琴奏者である著者が音楽家の視点で綴った本格評伝。平岡は慶應義塾大学を卒業し、1930年に単身渡米。翌31年からNBC放送の毎朝15分の番組にレギュラー出演する。その放送は41年12月8日の真珠湾攻撃の日まで10年9か月の間続き、「全米の少年少女は『ヒラオカの木琴』で目を覚ます」といわれた。日米交換船で帰国。戦中は、「音楽挺身隊員」の一員として、戦後は、NHKの紅白音楽試合(歌合戦の前身)に出演するなど国民的音楽家として、縦横無尽の活躍を見せる。
イベントでは、戦前・戦中・戦後の昭和を疾走した平岡養一とその愛器をめぐる数奇なエピソードの数々を紹介しながら、昭和の子である著者の通崎睦美と書評家の岡崎武志が、「昭和の風景」について語り合う。ちなみに通崎は京都の「天使突抜一丁目」育ち。岡崎も大学生活を京都で送っており、「京都ばなし」への展開が期待できる。
<岡崎武志プロフィール>
1957年大阪生まれ。フリーライター。書評を中心に各紙誌に執筆。昨今の古本ブームを牽引する存在。著書に『文庫本雑学ノート』『古本でお散歩』『昭和三十年代の匂い』『古本道入門』『上京する文学』など多数。最近刊に『蔵書の苦しみ』(光文社新書)がある。
<通崎睦美プロフィール>
1967年京都市生まれ。マリンバ奏者。京都市立芸術大学大学院音楽研究科修了。2005年、平岡養一の愛器と楽譜一式を譲り受け、木琴奏者としても活動をはじめる。また、2000年頃よりアンティーク着物の着こなしが話題となり、コレクションやライフスタイルが様々なメディアで紹介されている。CDに『M×ピアソラ』(ewcc0005)『1935』(ALCD9071)、著書に『天使突抜一丁目~着物と自転車と』(淡交社)他。
こちらから、朝日新聞、毎日新聞他、各紙誌書評が読めます。
http://www.tsuuzakimutsumi.com/writing/#writing-papers
平岡養一・デビューリサイタル(帝国ホテル演芸場・1928年)
本トークイベントで通崎は、平岡が用いた木琴と同モデル「スーパー・ライト・ウエイトNo.834」(ディーガン社製)による演奏を披露。
昭和を奏でた名人の原点というべき音色が堪能できるだろう。
ちなみに、写真の右から4人目は親戚にあたる劇作家・小山内薫。
開催日時:2013年12月8日(日)15時~(開場14時30分)
開催場所:東京堂・神田神保町店6階東京堂ホール
参加方法:参加費800円(要予約 ドリンク付き) 店頭または電話・メール(shoten@tokyodo-web.co.jp)にて、「通崎睦美『木琴デイズ』刊行記念イベント参加希望」とお申し出いただき、名前・電話番号・参加人数をお知らせ下さい。
イベント当日と前日は、お電話にてお問い合わせ下さい。 電話 03-3291-5181