現在、3階哲学・思想書コーナーでは、「数学と哲学」フェアを開催中です。
今年はヒルベルト生誕150年、チューリング生誕100年ですね。
そんなこととは余り関係がないのですが、最近、拙店の哲学・思想書担当者は個人的に
数理論理学の勉強をすこししていました。
この楽しさを、すこしでも伝えたいと思い、フェアを企画してみた次第です。
フェアの企画を知人に話した際、知人は「これまた反時代的な……。」との感想を漏らしていました。
しかしジル・ドゥルーズは実存主義と構造主義が拮抗していたご時勢に、
処女作であるすばらしいヒューム論を上梓しました。
新しい哲学はどこから芽を出すのか、誰にもわからないわけですが、
なるべく多様な思想へのアクセスを整えることも書店の機能のひとつと考え、
上記の知人の言葉を褒め言葉と思って頑張りたいと思います。
ライプニッツの研究で著名な永井博さんの『数理の存在論的基礎』(創文社)や、
現代数理論理学の素晴らしい入門書、ジャキントの『確かさを求めて』(培風館)など、
普段は棚に挿してあって目に触れにくい、しかし重要な書籍も陳列しております。
また、フェア担当者による特製「フェアのしおり」も配布中。
こちらではデカルトの数学の懐疑、スピノザの共通概念、
田辺元の種の論理の数理哲学的文脈における位置づけ、
郡司ペギオ―幸夫さんの粘菌計算機の実験などを解説させていただいてます。
では、ついでですので、最近哲学・思想書売り場に入荷した書籍のご紹介。
『エックハルト ラテン語著作集Ⅴ』(中山善樹訳、知泉書館)。
これにて同著作集は完結! 偉業です。
こちらは創文社『ハイデッガー全集』。
一時拙店の棚から消えていた同全集ですが、再入荷!
現在入手可能なタイトルはすべて揃えております。
翻訳に関し毀誉褒貶のあることは承知しておりますが、
同全集でしか読めない重要なテキストが多数あります。
存在意義は疑い得ないでしょう。
(神田神保町店、哲学・思想書担当:三浦記す)