ジル・ドゥルーズは、英米の経験論哲学と文学に奇妙なまでの執着をみせている。が、そのことの意義は、いまだ十分に吟味されていない。ドゥルーズの英米びいきの発端は、ヒュームの経験論である。ドゥルーズは、おそらくジャン・ヴァールの『英米の多元主義哲学』(1920年)に刺激され、ウィリアム・ジェイムズ──およびバートランド・ラッセル──のことを考えながらヒュームに遡ったのではないか、と推測できる。概して、これまでのドゥルーズ研究では、デビュー作のヒューム論『経験論と主体性』(1953年)以後になされたベルクソン解釈が、ドゥルーズ哲学──『差異と反復』(1968年)でいったん体系化されたそれ──の主たる足場であると見ることが常道であったように思われる。それに対し、ベルクソン主義よりもヒューム主義をあえて優先するような解釈実験をぶつけてみるならば、いかなるドゥルーズ像が──誇張的に──仮構されるだろうか。その存在論的また倫理・政治的スタンスは、どうなるだろうか。今回は、私の博士論文の一つの中心的テーマであるこの〈ドゥルーズのヒューム/ベルクソン問題〉について、当論文でも援用したドゥルーズ/ヒューム/ジェイムズ論「重なり合う哲学」(『現代思想』2008年12月号)の著者、大山載吉氏と共に、多面的な検討を行いたい。(千葉雅也)
今年2011年は、イギリス経験論を代表する哲学者デイヴィッド・ヒュームの生誕300年にあたります。そこで、ヒュームの哲学を今日新鮮な風の通うものとして(嵐や乱流かもしれませんが)学び直すための準備運動として、千葉雅也さん、大山載吉さんをお招きし、20世紀を代表するフランスの哲学者ジル・ドゥルーズの思想においてヒュームの経験論哲学が果たした役割を、共に検討してみたいと思います。ヒュームの哲学、ドゥルーズの哲学のハード・コアに触れることのできる貴重な機会となると思います。是非ご参加ください。 (3階売り場、哲学・芸術書担当、三浦)
開催日時 12月10日(土)15:00~17:00(開場14:30)
開催場所 東京堂書店神田神保町店6階
参加方法 参加費500円(要予約)
※電話または、メール(shoten@tokyodo-web.co.jp)にて件名「千葉さん大山さんイベント希望」・お名前・電話番号・参加人数をお知らせください。イベント当日と前日は、お電話にてお問い合わせください。東京堂書店TEL03-3291-5181